高雄

京都・高雄で「至宝」に出会う旅へ

  • 文化

2023.01.30

京都市街地から若狭へつながる周山街道の入り口、高雄エリア。紅葉スポットとして知られていますが、古くから伝わる「至宝」と出会える場所でもあります。山や清流といった自然美とともに、「至宝」の数々に出会う旅に出かけてみませんか。

鎌倉時代の姿をとどめる「石水院」

奈良時代後期に開山、鎌倉時代に後鳥羽上皇の命により明恵(みょうえ)上人が再興し、華厳宗の根本道場となった世界文化遺産「高山寺」。建築物、彫刻、絵画など鎌倉時代を中心に約1万点を所蔵しており、その中には国宝、重要文化財も数多くあります。

国宝に指定されている「石水院」は、明恵上人が後鳥羽上皇より賜り、学問所として暮らした建物です。華厳宗の経典に登場する善財童子の木像が置かれた部屋の床板は屋久杉の板、天井板は約1000年前の高野槙(こうやまき)。このような鎌倉時代の姿をとどめていることが、高山寺が世界文化遺産に登録された大きな理由にもなったそうです。

すぐそばにまで迫る山々の風景は、自然や命あるものすべてを愛しながら、厳しい修行に励んだ明恵上人が見たであろう景色です。濡れ縁に座り、しばし静かな時を過ごすのがおすすめです。

日本マンガのルーツといわれる「鳥獣人物戯画」

高山寺で同じく国宝に指定されているのが「鳥獣人物戯画絵巻」。擬人化された動物や空想上の動物が描かれた絵巻で、日本漫画のルーツといわれています。「石水院」に複製が展示されており、実物は京都国立博物館および東京国立博物館に寄託されています。

甲乙丙丁の4巻構成で、甲は動物の遊戯や法事、乙は動物図鑑、丙は人間の勝負事や擬人化した動物の競技、そして丁は人間の行事などが記されています。平安時代末期から鎌倉時代に複数の筆者によって描かれたとされていますが、詳細は不明です。

カエルとウサギが相撲を取っていたり、ウサギとサルが仲良く水浴びをしていたりと、どこかユーモラスな絵が描かれています。文章は書かれていないため、動物たちの会話を想像しながら眺めてみてはいかがでしょうか。

▽高山寺
京都市右京区梅ヶ畑栂尾町8
075-861-4204
8:30〜17:00
https://kosanji.com/

春と秋の特別公開に訪れたい、平岡八幡宮の「花天井」

大同4(809)年、空海が宇佐八幡を勧請して神護寺の鎮守社として創建した、山城国最古の八幡宮「平岡八幡宮」。本殿は室町時代に焼失しましたが、足利義満により再建され、現建物は文政9(1826)年に造営されたものです。

花の天井

本殿天井には極彩色の44枚の花絵が描かれており、「花の天井」として知られています。足利義満が花を愛する人物だったことから、これらの花が描かれているといわれています。2014年の修築で、絵師・山本探淵の墨書きが見つかり、花の天井の制作に山本探淵が関わった可能性が高いことがわかりました。

椿の名所でもある

通常非公開の「花の天井」は、毎年、春と秋に特別公開期間を実施。華麗な天井画を宮司さんによる約30分の解説付きで見ることができます。本殿の内陣、花天井は写真撮影不可。貴重な機会にしっかり目に焼き付けておきましょう。
春の公開時のうち、3月10日〜4月9日には「椿を愛でる会」も行われています。鑑賞無料で約200種の美しい椿の花を楽しめます。

▽平岡八幡宮
京都市右京区梅ヶ畑宮ノ口町23
075-871-2084
10:00〜16:00(最終受付15:30頃)
*3月10日〜5月15日、9月中旬〜12月上旬の花の天井特別拝観時は800円(宮司のお話と大福茶接待付き)

※この記事の情報は、2023年1月時点のものです。